FC2ブログ

中学4月月報より ノートの世界

4月の中学月報から、久保田副校長の文章を抜粋します。

「授業では、ルーズリーフでなく、大学ノートを使うこと」
これは暁秀中・高の鉄則です。先日のニュースで思いもかけず、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授が同じ様な発言をしているのを知り、意を強くしました。

 発言の背景には、想像もしなかった展開を見せる、話題満載のSTAP細胞の一件があると思われます。未だ不明な点も多く、いつ、どのように決着するのかわかりませんが、理化学研究所・小保方ユニットリーダーの実験ノートが3年間で2冊しかなかったことは、確かなようです。どのくらいの厚さのノートか、1ページの字数などでも違ってきますが、これでは如何にも少ない。理研は、記録が不十分だったことから小保方氏の実験過程やその結果を検証できなかったと説明しています。
 実験ノートについて山中教授は、消せないボールペンを使うこと、訂正の場合は二本線を用いて間違いを明確にしておくことなどをあげています。差し替え可能なルーズリーフは不可で、製本されたもの、まさしく大学ノート系なのです。書かれていても、量が少ない、書き方の汚い人は指導の対象だそうです。
 これほど、ノートの記録が厳しくチェックされるのは不正防止のため、また、自分の実験データに疑義が唱えられた時に、反論を可能にするためです。さらに特許権を争う際の有力な証拠ともなり得ます。実験ノートのことから、世界的規模で熾烈な競争を強いられる研究の世界を垣間見た気がしました。
 
 自分の大学院生の頃と比べ、実験ノートの意義も大きく変わってきたと感じました。当時、実験の手順や記録はこまめに取る方でしたが、すべて自分のため。実験データは、予想どおりには出てきません。単なるミスか、予想と異なるデータに意味はあるのか。多くは前者でした。しかし失敗を繰り返すうちに、丁寧にやるところ、肩の力を抜いてもよいところなど実験のコツがわかってきました。その時には実験ノートも結構な冊数になっていたのを覚えています。私の場合、「ルーズリーフでなく、大学ノートを使うこと」の論拠は自らの体験にあって、現在の研究室における実験ノートの意義とは異なります。しかし、積み重なるノートの高さが増すにつれて理解も進み、見える世界が違ってくることは共通だと思います。皆さんも大学ノート(鉛筆・消しゴムOK)をどんどん積み重ねていって下さい。ただしノートの取り方はなかなか奥が深いので、あせらずに失敗しながら成長して欲しいと思います。